愛するあまり生霊に!?「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)」(1)
六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)は、光源氏を愛するあまり、生霊(いきりょう)そして死霊(しりょう)になってしまう女性です。
こんにちは。京都にて、檜(ひのき)の木製御朱印帳やオリジナルの御朱印帳、当社が考案した「ご祈願帳」、御朱印帳の和紙に新たな命を吹き込んだ「和紙香(かみこう)」「和紙華(かみか)」、御朱印帳バンドやしおりなどの和雑貨を制作している「工房沙彩(こうぼうさあや)」です。
ご来店いただき、ありがとうございます。
「源氏物語」で登場する女性たちをご紹介シリーズ
四人目は「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)」です。
その前に、当時の貴族の恋愛事情についてお話します。
当時の貴族の女性は、男性に顔を見せることはタブーであったと、以前お話しをしました。
なので男性は「人の噂(うわさ)」「チラッと見えた姿」「楽器を弾く音色」などで女性を知り、求愛をしたそうです。
求愛は手紙(和歌)を送ることから始まります。
女性は慎重に(時には側近の者が代わりに)返答をします。
それが続き、いい感じになると、男性が女性を訪ねる… となり、恋愛が成立します。
そして、三日続けて訪問すると、結婚となったそうです。
六条御息所は、前の天皇の皇太子(桐壺天皇の兄?)の妻でした。
16歳で結婚をしましたが、20歳の時に皇太子が亡くなり、以降六条に住んでいたので、そのように呼ばれています。
実は、光源氏とどのようにして出逢ったのか、記されていません。
そのため、藤壺(ふじつぼ)との最初の過ちとともに「失われた帖」に書かれていたのでは…と考えられています。
「(六条御息所の)心にも入れず走り書いたまへりし一行ばかり、わざとならぬを得て、際ことにおぼえしはや。さて、あるまじき御名も立てきこえしぞかし」
後に光源氏は、出逢いについて「あの方の何気なく書いた一行の筆跡に魅かれたことで、あんなことになったんや」と語っています。
さて、光源氏は、六条御息所に逢いに行くことが、少なくなっていきます。
理由は「とけがたかりし御気色をおもむけ聞こえたまひて後、ひき返し、なのめならむはいとほしかし」
「振り向いてくれへん女性を口説き落とした後って、急に冷めんねん。可哀そうやけど」
(いけすかん男やわぁ…)
六条御息所も、それに気付いており「似げなき御年のほどを恥づかしう思して、心とけたまぬけしきなれば」
「私は年上(7歳年上だったようです)やし、夢中になってへんフリをしてるだけやねん」と、切なく嘆きます。
そのため、娘が斎王(さいおう)となり伊勢神宮に行くことになった時、光源氏を忘れるために、付き添って行く決心をします。
しかし、二人の関係は世間の知るところでもあり、その話を聞いた父の桐壺天皇からも、
「前の皇太子の未亡人やねんし、もっとちゃんとしたらなあかん!」と説教をされますが、光源氏の態度は相変わらずで、それが六条御息所のプライドを傷つけていきます。
そんなある日、光源氏が祭の行列に参加すると聞いた六条御息所は、こっそりと車で見に出かけます。
その車を、光源氏の正妻・葵の上の車の従者が、六条御息所の車と知って押しのけてしまいます。
「心やましきをばさるものにて、かかるやつれをそれと知られぬるが、いみじうねたきこと、限りなし」
「腹立つよりも、こっそり見に来たんが葵の上にバレて、こんな屈辱を味わうことがツラい…」と、六条御息所はプライドをズタズタにされるのでした。
そして「年ごろはいとかくしもあらざりし御いどみ心を、はかなかりし所の車争ひに、人の御心の動きにける」
「今までは気にしてへんかったけど、このことで恨みが出てきたわ」と、葵の上への怨念が芽生えるのでした。
(いやいや、葵の上は悪くないんやけどね…)
(恨まなあかんのは、光源氏やで…)
さて、六条御息所はどうなっちゃうのでしょうか。続きは次回です。
※ 表記中、太文字と斜め書きになっている箇所は、原文から引用しました。
工房沙彩では、2024年大河ドラマ「光る君へ」をイメージした、御朱印帳と和紙ファイルを販売しております。
よろしければ、ショップで確認してみてくださいね。