源氏物語のお笑い担当?!「末摘花(すえつむはな)」
末摘花(すえつむはな)は、引っ込み思案で世間知らず、そして???な女性ですが、光源氏から忘れられても、信じて待ち続けた女性です。
こんにちは。京都にて、檜(ひのき)の木製御朱印帳やオリジナルの御朱印帳、当社が考案した「ご祈願帳」、御朱印帳の和紙に新たな命を吹き込んだ「和紙香(かみこう)」「和紙華(かみか)」、御朱印帳バンドやしおりなどの和雑貨を制作している「工房沙彩(こうぼうさあや)」です。
ご来店いただき、ありがとうございます。
「源氏物語」で登場する女性たちをご紹介シリーズ、今回が最終回になります。
六人目は「末摘花(すえつむはな)」です。
その前に…
今までご紹介してきたように、源氏物語は、結構ドロドロした話が多いですよね。
そんな中でも、時々「プッ(笑)」とさせられる物語があります。
例えば「父の桐壺天皇の宮中に仕える、57か58歳の典侍(ないしのすけ:女官の官位)に手を出し、友人に見つかってしまう物語」
この文章だけでも、笑えますよね!
この「末摘花」の帖も、そのような物語になっています。
末摘花は、光源氏の乳母(うば)の娘・大輔の命婦(たいふのみょうぶ)が、実家代わりにしている屋敷に住んでいる女性です。
親王(しんのう:皇族の称号のひとつ)である父親が亡くなってから、保護もなく貧しく暮らしていました。
大輔の命婦、曰く「ものづつみし、ひき入りたる方はしも、ありがたうものしたまふ人になむ」
ものすごく引っ込み思案、そして物語の内容から、とても世間知らずな女性だったようです。そして…(笑)
光源氏と大輔の命婦は、気を使うことのない、おそらく幼なじみ的な感じだったのでしょう。
そんな2人が世間話をしている中で、大輔の命婦は、末摘花のことを話しました。
当時18歳だった光源氏は
「すこしゆゑづきて聞こゆるわたりは、御耳とどめたまはぬ隈なきに、さてもやと、思し寄るばかりのけはひあるあたりにこそ、一行をもほのめかしたまふめるに」
ちょっとでも評判のいい女性がいると聞くと情報を集め、「ええんちゃう?!」と思ったら、恋文を出す…
といった、イケイケ状態でした。そりゃもちろん、末摘花にも興味を抱きますわ。
大輔の命婦に頼んで、屋敷に行き、恋文も出しますが、末摘花は一切返事を返しません。
(世間知らずで、引っ込み思案ですから)
春夏と過ぎ、秋になっても返事がもらえないことに
「世づかず、心やましう、負けては止まじの御心さへ添ひて」
「世間知らずすぎて腹立つけど、ここで止めたら負けやん!」と、再度、大輔の命婦に頼み、そして関係を持ちます。
しかし… 何かが違う… プレイボーイの光源氏は違和感を覚え、本来翌朝に送らなければいけない文を、夕方に送り、また翌日は通いませんでした。
覚えていらっしゃいますか? 二日通わなければ、結婚とはならないんです(ほんの火遊びですね)。
周りの女房たちは悲観にくれましたが(貧しい生活から抜けられると期待していたんです)、末摘花は、昨夜の恥ずかしさが勝り、そんなことにも気づきません。
秋が過ぎても末摘花のもとに通わない光源氏に、大輔の命婦は「いとかう、もて離れたる御心ばへは、見たまふる人さへ、心苦しく」
「可哀そうでみてられへんわ」と訴えます。
冬になり、やっと屋敷に訪れた光源氏は、翌朝、初めて末摘花の容姿を見ます!
「居丈の高く、を背長に見えたまふ」「あさましう高うのびらかに、先の方すこし垂りて色づきたる」「額つきこよなうはれたるに、なほ下がちなる面やうは、おほかたおどろおどろしう長きなるべし」「痩せたまへること、いとほしげにさらぼひて」
座高は高く胴長。(鼻は)高くて長く、先の方が少し折れて赤い。おでこは広く、顔の下はおそろしく長い。瘦せていて骨ばかり。
(紫式部さん、そこまで酷く書かんでも…)
「「何に残りなう見あらはしつらむ」と思ふものから、めづらしきさまのしたれば、さすがに、うち見やられたまふ」
光源氏も「なんで、見てしもたんやろ…と思いながらも、怖いもん見たさで見てしまうわ」と、着物などもしっかりかチェックしています(笑)
それでも「我ならぬ人は、まして見忍びてむや」
「私以外の人は、相手できひんやろな」と、今後も世話をすることにします。
(言い方は失礼やけどね)
その後も、末摘花のことを忘れる時期がありますが、彼女は光源氏を信じ待ち続け、そのことに感動(反省?)した光源氏は、別宅(二条東院)に移り住ませます。
そして、時代遅れの歌を詠んだり、センスのない贈り物をしたりして、光源氏を絶句させることもありましたが、穏やかな日々を過ごすのでした。
ちなみに「末摘花」とは「紅花」のこと。「赤い鼻」に引っ掛けて、光源氏がつけたあだ名です(笑)
※ 表記中、太文字と斜め書きになっている箇所は、原文から引用しました。
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